東京高等裁判所 昭和47年(行コ)21号 判決
案ずるに、控訴人の本訴請求は、美濃部亮吉個人に対し、東京都知事選挙立候補の際の公約の確認と履行を求めるものであるが、いわゆる公約は一種の宣言であって合意ではないから、被控訴人が東京都知事に就任したからといって、現在被控訴人と控訴人との間に、選挙の際の公約と内容を同じくする法律関係が生じていることにはならず、したがって、単なる公約の存否を確認の訴の対象とすることはできない道理である。また、東京都知事にあらざる個人に対し、公約の履行を求めることは、不能事を求めるに等しく、意味のないことである。のみならず、かりに本訴請求が認容された場合を考えても、認容判決がただちに控訴人のいう権利侵害を是正あるいは治癒する効果を生ずるものでないことは明らかであるから、本訴は利益のない訴といわなければならない。
(近藤 田嶋 吉江)